居酒屋の原価率32%はこう守る|元店長がやっていたのは「特別なこと」ではなかった

「原価管理」と聞くと、何やら難しそうに聞こえませんか?

電卓を叩いて、仕入れ値とにらめっこして、グラム単位でケチって——そんなイメージがあるかもしれません。

私は店舗責任者として、原価率32%目標の店を任されていました。そして正直に言うと、原価のことで頭を悩ませた記憶があまりありません。

なぜか。やっていたことが、たった2つだったからです。

  1. 決めた通りの量で作る
  2. 捨てない

これだけです。この記事では、この2つがなぜ「原価管理のほぼすべて」なのかを、現場の実例で説明します。これから飲食で責任者になる人、原価に悩んでいる人向けの話です。

この記事を書いた人

名前 店長ほりちゃん
経歴 チェーン居酒屋 正社員10年
入社時 22歳。接客が大の苦手
その後 3ヶ月で代行責任者 → 入社3年で店舗責任者
得意分野 焼き場・魚さばき・原価管理・スタッフ教育

そもそも原価率32%とは

ざっくり言うと、500円で売る料理の材料費を160円ぐらいに収めるということです(500円×32%=160円)。

チェーン店の場合、メニューの価格と規定量(レシピ)は本部が設計済みです。つまり——

マニュアル通りに作れば、原価率は自動的に32%前後に収まるように最初からできている。

ここが大事なポイントです。現場の原価管理とは、ゼロから数字を作る仕事ではなく、設計通りの状態を守る仕事なんです。

やること①:規定量を、全員が、毎回守る

だから私が現場で徹底していたのは、たったこれだけでした。

酒も料理も、マニュアル通りの規定量を守る。

「そんなの当たり前やろ」と思いますよね。でも現場では、当たり前が静かに崩れます。

  • 忙しい時間帯、目分量で注いだ生ビールの泡が少なめ→1杯あたりのビールが規定より多い
  • 常連さんへのサービス精神で、刺身を「ちょっと多め」に盛る
  • 新人が計量せず「だいたいこれくらい」で作る

1杯・1皿では誤差でも、1日数百杯・数百皿の積み重ねが月末の原価率に化けます。逆に言えば、全員が規定量を守っている店は、特別なことをしなくても原価が守れる。だから責任者の仕事は電卓を叩くことではなく、「規定量を守る文化」を維持することでした。新人教育で計量を最初に叩き込むのも、これが理由です。

やること②:捨てない——期限が近い食材は「変身」させる

もうひとつの敵は廃棄(ロス)です。

食材を捨てるのは、お金をゴミ箱に入れるのと同じこと。仕入れた時点でお金は払っているので、売らずに捨てたら原価率だけが上がります。

私の店でやっていたのは、消費期限が近づいた食材に少し手を加えて、別の料理に変身させることでした。

  • 期限が近い食材 → ひと手間加えてお通しに
  • 刺身で出しきれなかった魚 → 煮物に

刺身は鮮度が命なので出せる時間が短い。でも火を通せば、煮付けとして立派な一品になります。「生で売る」から「加熱して売る」への切り替えは、魚を扱う店の基本のロス対策です。

ポイントは、これが手抜きではなく設計だということ。お通しは毎日出るので、「期限の近い食材の受け皿」として最初から機能させておく。廃棄がお通しに変わった分だけ、原価はそのまま利益に変わります。

数字とにらめっこするより、現場を見る

まとめると、私の原価管理はこうでした。

  • 原価率の目標:32%
  • やること:規定量の遵守廃棄の削減。この2つの徹底だけ
  • 気を遣いすぎない。設計(マニュアル)を信じて、設計通りの状態を守る

原価が悪化した店で起きているのは、たいてい複雑な問題ではありません。規定量が崩れているか、捨てすぎているか。数字は結果であって、原因は必ず現場の手元にあります。

これから責任者になる人へ。原価管理は電卓の仕事やなく、現場を見る仕事です。レシピ通りに作られているか、ゴミ箱に何が捨てられているか——見るべきはその2つだけですよ。

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