売上が悪い日、店長は何をするか|元居酒屋店長の立て直しと引き際

店長・マネジメント

飲食店をやっていれば、どうしようもなく客足が鈍い日が必ずあります。

天気、曜日、近所のイベント、給料日前。理由はいろいろありますが、原因を分析している暇はありません。店長がやるべきなのは、その日のうちに手を打つことです。

私が居酒屋で店舗責任者をしていた頃、売上が悪い日にどう動いていたか。判断の順番をそのまま書きます。

勝負は19時〜21時。ここで決まる

まず、その日が良い日か悪い日かは、意外と早く分かります。

19時から21時に入らなければ、その日は厳しい。

これが私の判断基準でした。居酒屋のいちばん濃い時間帯です。ここに客足が乗らない日は、あとから急激に伸びることはまずありません。逆に言えば、21時を待たずに「今日は勝負しにいく日だ」と切り替えられるということです。

だいたいの店長は、この見極めが遅れます。「まだ来るかもしれない」と期待して、気づいたら22時。そこから打てる手は、もうほとんど残っていません。

悪い日の動き方:まずは外、次に中

客足が鈍いと分かったら、私はこの順番で動いていました。

① まず店頭販促(呼び込み)に出す

最初にやるのは、店の外に出て、通りのお客さんにご案内することです。

ここでポイントがひとつ。呼び込みには、明らかに上手い子がいます。 声のかけ方、タイミング、押しの強さ。持って生まれたセンスとしか言いようがない子が、どの店にも一人はいるものです。

だから暇な日には、まずその子に外へ出てもらう。誰でもいいわけではありません。得意な人に、得意なことをやってもらう。これがいちばん効きます。

② 店内にいる子は掃除に回す

外に出す子を決めたら、店内に残る子は掃除です。

暇だからといって、スタッフを手持ち無沙汰で立たせておくのが一番よくありません。動いていない時間は、本人にとってもしんどいものです。

それに、暇な日にしかできない掃除は山ほどあります。普段は手が回らない場所を、この日にやっておく。忙しい日の自分を助ける貯金になります。

21時、引き際を判断する

そして21時ごろ。ここが二つ目の判断ポイントです。

この時間になっても戻らなければ、前半組から数名、早上がりをお願いします。

これは冷たい判断のようですが、そうではありません。人件費は売上に対してかかるコストです。売上が立たない日に全員をフルで残すのは、原価と人件費で店を守るという店長の仕事から見れば、判断を放棄しているのと同じです。

そして早く上がれることを喜ぶスタッフも、実は少なくありません。大事なのは唐突に決めないこと。早い時間から「今日は状況を見て早上がりをお願いするかも」と伝えておけば、本人も予定を立てられます。

23時に後半組が来る。だから2時間を乗り切る

早上がりを出したあと、残った人数で回すのは21時から23時までの2時間です。

なぜ2時間かというと、23時に後半組が出勤してくるから。ここまで持ちこたえれば、また人手は戻ります。

この「あと2時間だけ」という区切り方が、けっこう大事でした。終わりの見えないしんどさは人を消耗させますが、ゴールが見えていれば人は踏ん張れます。残ったメンバーにも「23時に交代来るから、それまで頼むな」と伝える。それだけで空気が変わります。

ちなみに、忙しい日の店長は何をしているか

ここまで「悪い日」の話をしてきたので、逆も書いておきます。めちゃくちゃ忙しい日、店長は何をしているのか。

答えはシンプルです。

回っていないほうで働く。

厨房が詰まっていれば厨房に入る。ホールが手薄になればホールに出る。厨房行ったりホール行ったり、正直あわあわしています。

かっこいい話ではありません。腕を組んで指示を出しているような余裕は、繁忙時にはありません。

ただ、これには意味があります。店長はどこにも固定されていないから、詰まったところに入れるんです。持ち場を持っているスタッフは、自分の場所を離れられません。だからこそ、責任者だけが遊撃として動ける

そのために必要なのが、どの持ち場もひととおりできることです。焼き場も、刺し場も、ホールも。10年かけて全部の持ち場を経験しておいたことが、ここで効いてきます。

店長の仕事は「指示すること」だと思われがちですが、繁忙時に限って言えば「一番弱いところを埋めること」でした。

ただし、閉店後の作業は変わらない

ひとつ補足を。売上が良い日も悪い日も、閉店後にやることは同じです。

掃除、締め作業、翌日の準備。暇だったから早く終わる、というものではありません。

これは当たり前のようで、けっこう大事な話です。売上が悪かった日ほど、締めが雑になりやすいからです。気持ちが乗らない日に、同じ基準で終われるか。潰れる店と伸びる店の差は、たぶんこういうところに出ます。

やってはいけないこと

逆に、売上が悪い日にやってはいけないと思うことも書いておきます。

① 店長が不機嫌になる
これが最悪です。売上が悪いのはスタッフのせいではありません。店長がため息をついた瞬間、店の空気は死にます。数少ないお客さんにも必ず伝わります。

② 誰も動かないまま時間を流す
暇なのに全員が突っ立っている店は、外から見ても入りづらい。動いている店には活気があります。

③ 見極めを先延ばしにする
「まだ来るかも」で判断を遅らせると、打てる手が減り、人件費だけが出ていきます。決める時間を最初から決めておくのが正解です。

④ 早上がりを直前に言い渡す
やり方ひとつで、同じ判断でも受け取られ方が変わります。シフトと同じで、働く人の目線を忘れないことが大事です。

まとめ

  • 勝負は19〜21時。ここに入らなければ、その日は厳しいと切り替える
  • まず店頭販促(呼び込み)。得意な子に任せるのが一番効く
  • 店内組は掃除へ。暇な日の掃除は忙しい日の自分を助ける
  • 21時に見極め、前半組から早上がりをお願いする
  • 23時に後半組が来る。区切りを示せば人は踏ん張れる
  • やってはいけないのは、不機嫌・棒立ち・先延ばし・唐突な通告

売上が悪い日は、店長の力量がいちばん出る日です。良い日は誰がやっても回りますから。

悪い日にどう動くかで、店とスタッフの信頼は決まります。

この記事を書いた人
店長ほりちゃん

店長ほりちゃん|チェーン居酒屋 正社員10年・元店舗責任者

22歳で入社。接客が大の苦手で厨房に逃げ込んだところから、人手不足でホールに駆り出され、3ヶ月で代行責任者、3年で店舗責任者へ。調理・接客・計数管理・スタッフ教育まで、店を丸ごと回す10年を過ごしました。

このブログでは、「いらっしゃいませ」も言えなかった人間がどうやって店長になったのか、その現場のリアルを書いています。

店長ほりちゃんをフォローする
店長・マネジメント
シェアする
店長ほりちゃんをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました