クレームが怖い。
飲食で働く人なら、誰でも一度は思うことです。お酒の入る居酒屋なら、なおさら。声を荒げるお客様を前にすると、頭が真っ白になります。
私は店舗責任者として10年、クレーム対応の矢面に立ってきました。先に結論を言うと、大きな失敗の記憶はありません。運が良かったのもあるでしょうが、それ以上に、最初からひとつの心構えを決めていたからだと思っています。
「絶対に、店舗内で納める。本社クレームにはしない。」
この記事では、この心構えの意味と、実際にやっていたシンプルな対応手順を書きます。
この記事を書いた人
| 名前 | 店長ほりちゃん |
| 経歴 | チェーン居酒屋 正社員10年 |
| 入社時 | 22歳。接客が大の苦手 |
| その後 | 3ヶ月で代行責任者 → 入社3年で店舗責任者 |
| 得意分野 | 焼き場・魚さばき・原価管理・スタッフ教育 |
なぜ「店舗内で納める」なのか
チェーン店のクレームには、2つの出口があります。
- その場で解決する(店舗内で納める)
- お客様が本社に電話する(本社クレームになる)
同じクレームでも、この2つは別物です。
店舗内で納めれば、その場で謝って、その場で関係を修復できる。お客様も「店長がちゃんと対応してくれた」で終わり、また来てくれることさえあります。
でも本社に行ったクレームは、もう自分の手で温度を下げられません。報告書になり、時間が経ち、お客様の怒りは冷めないまま記録だけが残る。お客様にとっても店にとっても、いいことがひとつもないんです。
だから私は「本社にはしない」と最初から決めていました。これは保身の話ではなく、その場で解決するのが、お客様にとっても一番早くて誠実だからです。そしてこの覚悟を決めると、対応の腰が据わります。「誰かに回す」選択肢を捨てた人間は、目の前のお客様に集中するしかなくなるので。
手順①:まず、じっくり聞く
対応の最初にやることは、謝ることではありません。
お客様の言いたいことを、じっくり聞くこと。
怒っている人は、まず「言いたい」んです。それを途中で遮って「申し訳ございません、すぐ交換します」と処理に走ると、「話を聞かずに済ませようとした」と映って、火に油になります。
- 途中で遮らない
- 言い訳をはさまない
- 相槌を打ちながら、最後まで聞く
聞いている間に、お客様の温度は少しずつ下がっていきます。聞くことは、それ自体が対応なんです。
手順②:誠心誠意、謝る
言い分を全部聞いたら、次は謝罪です。
誠心誠意、謝る。テクニックを弄さない。責任の所在の説明から入らない。まず、嫌な思いをさせたことに対して、まっすぐ謝る。
私の経験では、じっくり聞いて、誠心誠意謝れば、大体のクレームは何とかなります。本当です。人は「ちゃんと聞いてもらえた」「ちゃんと謝ってもらえた」と感じたら、それ以上は求めないことがほとんどなんです。
ちなみに私は、土下座もお手のものでした。……いや、土下座を推奨してるわけやないですよ。そうじゃなくて、「そこまでやる覚悟を最初から決めている」ということです。覚悟が決まっている人間の謝罪は、お客様に伝わります。逆に、心のどこかで「自分は悪くないのに」と思いながらの謝罪は、どれだけ言葉を丁寧にしても見抜かれます。
接客が苦手でも、クレーム対応はできる
意外に思うかもしれませんが、接客が大の苦手だった私でも、クレーム対応はできるようになりました。
理由は、クレーム対応が「明るさ」や「話のうまさ」の勝負ではないからです。必要なのは:
- 聞く姿勢(喋らなくていい。むしろ喋らない方がいい)
- 謝る覚悟(ピエロの記事で書いた「役を演じる」も、ここで効きます)
どちらも、性格ではなく準備の問題です。「クレームが来たら、まず全部聞く。それから謝る。店の中で納める」——この台本を持っているだけで、頭が真っ白になることはなくなります。
まとめ
- 心構え:絶対に店舗内で納める。誰かに回す選択肢を捨てると腰が据わる。その場で解決するのが、お客様にも一番誠実
- 手順①じっくり聞く。遮らない、言い訳しない。聞くこと自体が対応
- 手順②誠心誠意謝る。テクニックより覚悟。覚悟は必ず伝わる
- 聞いて謝れば、大体何とかなる。10年やった人間の実感です
クレームは怖いもんです。でも、台本と覚悟があれば越えられます。あなたの店のお客様は、あなたが思っているより、ちゃんと謝れる人間のことを許してくれますよ。

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